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0047.ツチヤウィルス感染中 -紅茶を注文する方法-
紅茶を注文する方法
土屋 賢二 / 文芸春秋
ISBN : 4167588080
スコア選択: ※※※※※

哲学者と言えば、皆さんどんなイメージをお持ちでしょうか?
そう、出来れば出会いたくない、出会ってしまったら出来るだけ目を合わせたくない。目が合ってしまったらとにかくゴミ箱にでもポイして、一刻も早く忘れてしまいたい。
そんなイメージではないでしょうか?

大体、哲学者ってのは家に住めば快適なのに樽の中で生活したり、明るい昼間にカンテラ灯して物を探すようなヤカラです。
そんなことしたのはギリシャの哲人、ディオネゲス。まあ、彼の場合本業は「奇人」なんですが。
医師免許を持ってないのに死亡宣告なんかして、ブラックジャックみたいな連中です。
「神は死んだ」と言ったはドイツの哲学者、ニーチェ。ちゃんと死亡診断書も書いたんでしょうか?
じゃあ偉いのかと言うと、どうやら植物と動物の区別さえついていないと思われます。
「人間は考える葦である」と書いたのはパスカル。アライグマみたいな名前のこの鉄人は植物(葦)と動物(人間)の違いも解らないクセに数学者で物理学者でもあります。学者になるのって簡単なんですね。

そんな哲学者なんて肩書きに、大学教授という言葉を加えたらどうなるでしょうか?
もうこれは凶悪に過ぎてゴミ箱なんかではなくP4レベルの設備にでも隔離しておく必要がありそうな気がします。

で、その「大学教授」にして「哲学者」という、人間として最もなってはイケナイ職業にあるのが、今回紹介の作者土屋賢二氏。

さて、冗談はさておき、土屋教授はとても凄い人です。
何といっても柴門ふみの恩師です。
そして、さくらももこさんに色紙をもらった事があります。
助手がいます。
それからえーと、えーと...(熟考)...zzz.
まあ、とにかく読んでみれば凄い人だってのがよく解ります。
私も土屋氏を知って世界観が拡がったかもしれないし、狭まったかもしれない。
それぐらいに、凄い。

本作品は土屋教授の、哲学とはなーんの関係もないエッセイ集。
助手にお茶を入れてもらおうとすれば拒否され、編集者からはいわれの無い虐待を受け、コンピューターは調べるほどに動かなくなり、探している本は見つからず、棚の修理は終わらない。
しかし、そんな不幸な境遇にありながらも土屋教授は健気に文章を綴り続け、洗濯機やアルマジロを本文中に乱舞させつつも、頑張って生きています。
私ならもう、どうにかなってしまいそうな境遇なんですが、土屋先生はしっかりとどうにかなってしまってるんですから、何となくこの本で生きる活力を与えられた気になったような妄想に襲われます。

いけない、徐々に文章がツチヤ化しつつある...
まだ、私の意識があるウチに続きを書かなければ...

とにかく「引き芸」「ぼやき」に徹底したスタイルは、どこぞの若手芸人や綾小路ナニガシの到底及ぶところではありません。
私ゃ、笑いを通り越して感動しちまいましたですよ。
電車で読んでると、向かいの席の綺麗なお嬢さんにうっかり微笑みかけてしまうぐらい、面白い。
実は、私ゃこれまで土屋教授を存じ上げてなかったんですが、本当にこれは勿体ないコトだったと思っています。
みんななんでこんな面白い本を隠してたんだ!

まずは、読むべし。
もしかすると、哲学者を見直すきっかけになるかもしれません。
見直すったってまあ、いい意味で、ではないかもしれませんが、ゴミ箱にポイされた哲学者も救出されるかもしれません。
哲学をやってない時に限って。
by jemini-x | 2004-11-03 07:09 | 0041~0050
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